産業廃棄物とは、事業活動に伴って発生した廃棄物のうち、燃え殻などの20種類を言います。その産業廃棄物の中にも、「あらゆる事業活動に伴うもの」と「特定の事業活動に伴うもの」とがあり、「紙くず」「木くず」「繊維くず」を含む以下の7種類は、特定の事業活動に伴って発生した場合のみ、産業廃棄物に該当するとされています。
そこでこのページでは、「特定の」事業活動によって生じた場合のみ、産業廃棄物として取り扱うことが許される7つの廃棄物を詳しく見ていきたいと思います。
紙くず
・建設業
・パルプ、紙又は紙加工品の製造業
・新聞業
・出版業
・製本業
・印刷物加工業
上記6業種の事業活動に伴って生ずる紙くずのみ「産業廃棄物」に該当します。(例)建材の包装紙、建設現場から排出される紙くず、印刷くず、製本くずなど。
木くず
・建設業
・木材又は木製品製造業
・パルプ製造業
・輸入木材の卸売業
・物品賃貸業に係る木くず
上記5業種の事業活動に伴って生ずる木くずのみ「産業廃棄物」に該当します。(例)建設業関係、木材・木製品製造業関係の廃木材、おがくず、バーグ類、梱包材くず、板きれ、廃チップなど。
繊維くず
・建設業
・繊維工業
上記2業種の事業活動に伴って生ずる繊維くずのみ「産業廃棄物」に該当します。(例)木綿くず、羊毛くず、麻くず、糸くず、布くず、綿くず、レーヨンくず、建設現場から排出される繊維くず、ロープなど。
動植物性残渣
・食料品製造業
・医薬品製造業
・香料製造業
上記3業種の事業活動において原料として使用した動植物に係る固形状の不要物のみ「産業廃棄物」に該当します。(例)魚及び獣の骨、皮、内臓などのあら、ボイルかす、缶詰・瓶詰の不良品、乳製品、精製かす、醸造かす、発酵かす、あめかす、のりかす、野菜くず、原料として保管しているもので不良となったものなど。
※飲食店などから生ずる動植物性残渣、売れ残り食料品は、事業系一般廃棄物になり、産業廃棄物には該当しません。
動物系固形不要物
と畜場法のと畜場においてとさつし、又は解体した獣畜及び鳥処理事業の規制及び食鳥検査に関する法律の食鳥処理場において食鳥処理した食鳥に係る固形状の不要物
動物のふん尿
畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物ふん尿
動物の死体
畜産農業に該当する事業活動に伴って生ずる動物の死体
誤解しやすい点
よくあるご相談として、コンビニから出る弁当の売れ残り、飲食店から出された野菜くず・魚介類、会社・事務所から出る紙くずなどを収集運搬したいので、「産業廃棄物収集運搬業の許可」を取得したいというお客様がいらっしゃいます。しかし、「コンビニから出る弁当の売れ残り」「飲食店から出された野菜くず・魚介類」「会社・事務所から出る紙くず」は産業廃棄物には該当しません。
弁当の売れ残り、野菜くず、魚介類は、動植物性残渣に該当しそうですが、動植物性残渣は、「食料品製造業」「医薬品製造業」「香料製造業」という業種指定がありました。コンビニや飲食店はこれらの業種に該当しません。
また、会社や事務所などでシュレッダーをして出る紙くずは、「建設業」や「紙製造業」から出る紙くずではないので、産業廃棄物収集運搬業で扱う「紙くず」には該当しません。
これらは、いずれも事業系の一般廃棄物となり、これらの廃棄物を扱うのであれば「一般廃棄物の収集運搬業の許可」が必要になります。