産廃許可に必要な財産的要件


産廃許可を申請するには、会社の財政能力も問われます。いわゆる「産廃許可申請の財産的要件」です。産廃許可の要件として、講習会の修了証が必要だったり、運搬車両の車検証のコピーが必要だったりすることについては、ご存知の方が多いかもしれません。一方で、財産的要件、会社の財政的能力が問われることについては、気にかけていない方が多いように思います。

そこで、このページでは、産廃許可申請における「財産的要件」について解説したいと思います。

そもそもなぜ財産的要件(財政能力)が必要か?

なぜ産廃許可申請の際に、会社の財政状況まで確認するのでしょうか?「許可を取りたいんだから、簡単に取らせてくれ!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、産廃の許可を取得するということは、産業廃棄物の収集運搬を業として行えるようになることを意味します。

仮に、財政状況の厳しい会社に許可を与えて、その後、会社が潰れてしまったり、廃棄物を放置してしまったり、適確なルールに従わず処分してしまったりしては、環境に影響を与えることは必至です。産廃許可業者には、しっかりルールに基づいて、違反・不正のないように産業廃棄物を扱っていただかなくてはなりません。財政難にある会社や、財政的な回復の兆しのない会社に許可を与えることは、上記のような観点から望ましくないといえるのです。

それでは、産廃許可に必要な財産的要件や追加書類について、「東京都」「埼玉県」「千葉県」の手引きの記載を参考に見ていきます。

東京都の場合

財産的要件を満たしているか否かの判断方法

1.法人税の納税状況

法人税の納税内容を確認し、直近の納税額が1円以上、かつ直近3年間に未納税額がない場合は、財産的要件をクリアしているため、追加書類は必要ありません。

直近の納税額が「零」「0」円、又は直近の3年間に未納税がある場合には、「2.債務超過状態の有無」を確認します。

2.債務超過状態の有無

直近決算期の貸借対照表において債務超過(負債の総額が資産の総額を上回る状態)であるかどうかを確認し、債務超過でない場合は、追加処理は必要ありません。

債務超過である場合は、「3.返済不要な負債の有無」を確認します。

3.返済不要な負債の有無

直近決算期の貸借対照表に記載された負債の中に、返済不要なものがあるかどうか確認します。返済不要なものがある場合、「4.返済不要な負債の総額」を確認します。

返済不要なものがない場合、追加書類として「経理的基礎を有することの説明書」が必要になります。

4.返済不要な負債の総額の確認

返済不要な負債の総額が、債務超過額以上かどうかを確認します。債務超過額以上の場合、追加書類として「返済不要な負債の額及びその負債が返済不要であることがわかる書類/借入金及び支払利息の内訳書」が必要になります。

返済不要な負債の総額が債務超過額未満の場合、「経理的基礎を有することの説明書」が必要になります。

必要となる追加書類

経理的基礎を有することの説明書とは…

経理的基礎を有することの説明書には、「1.債務超過に陥った理由(いつ、どのような理由で債務超過になったのか)」「2.現在の債務超過額」「3.債務超過から脱するための対策(具体的な対策及びその対策で生じる利益。全対策により生じる当期利益。債務超過が解消できる会計年度)」を記載しなければなりません。

この書類は、中小企業診断士、公認会計士、税理士により作成されたものであることが必要であり、かつ、その書類を作成した中小企業診断士、公認会計士、税理士の資格を証明する書類も提出する必要があります。

この書類の記載内容が不十分である場合、内容の加筆や収支計画書などの追加資料の提出を求められる場合があります。

返済不要な負債の額及びその負債が返済不要であることがわかる書類とは…

返済不要な負債の額及びその負債が返済不要であることがわかる書類には、とくに決まりがありません。任意の書式での提出が認められています。この内容については、なぜ返済不要なのか?その額はいくらなのか?といった、借りた人にしかわからない事情があります。具体的にわかりやすく記載することを心がけましょう。

埼玉県の場合

財産的要件を満たしているか否かの判断方法

直前期の純資産が「+」か「-」か?

埼玉県の場合は、まず、直前期の純資産が「+」か「-」かで判断します。「+」の場合は、財産的要件を満たしているため、追加書類は必要ありません。「-」の場合は、財務実績・計画書が追加書類として必要になります。

「純資産」「経常利益」「3年間の経常収支」

直前期の純資産が「+」もしくは、直前期の経常利益が「+」もしくは、直前3年間の経常収支の合計が「+」の場合には、財産的要件を満たしているため、追加書類は必要ありません。一方で、いずれも「-」の場合には、財務診断書が追加書類として必要になります。

必要となる追加書類

財務実績・計画書

財務実績・計画書には、直前3年の実績及び今後5年間の計画書、収益を改善し、債務超過を脱するための具体的な内容を記載しなければなりません。とくに、「直前3年の実績及び今後5年間の計画書」には、売上高や売上原価のみならず、営業利益・経常利益・特別利益・特別損失など、かなり細かい記載をしなければなりません。

財務診断書

財務診断書は、中小企業診断士または公認会計士が作成しなければなりません。具体的には、「会社概要」「直近3年分の財務諸表に基づく財務診断」「債務超過に至った原因」「今後5年間の計画書の分析」「債務超過の改善策及びその実現可能性」について記載する必要があります。

千葉県の場合

千葉県の場合は、直近の事業年度末繰越利益剰余金がマイナスの場合、収支計画書を追加書類として提出する必要があります。

収支計画書には、「1.繰越損失の額」「2.繰越損失が発生した理由」「3.今後の事業改善計画」「4.直近の事業年度から3期分の事業計画」を記載する必要があります。

財産的要件を満たすかどうか?困ったら…

上記のような財産的要件を満たすかどうか?判断に困ったら、まずは、顧問の税理士に確認してみましょう!そのうえで、万が一、追加書類が必要になったら、税理士さん・会計士さん・中小企業診断士さんに、相談してみましょう。

もしお困りの方がいれば、行政書士法人スマートサイドにご連絡ください。


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