このページは、「産業廃棄物収集運搬業許可取得の手引き」と題して、これから、産業廃棄物収集運搬業の許可を取得しようと考えている方のために記載しました。インターネット上に掲載されているさまざまな情報のなかから、このページにたどり着いたということは、相当熱心に産業廃棄物収集運搬業の許可取得について、情報収集を行っていることだろうと思います。
ところで、皆さんは、会社の社長さんですか?それとも上司から申請を頼まれた社員さんですか?「産業廃棄物収集運搬業の許可を取得しなければならない」といっても、楽ではありません。パッと頭の中に浮かぶものを挙げただけでも
- 申請書類は間違えないように作成しなければならない
- 住民票や納税証明書を集めなければならない
- 申請先が複数ある場合には、実際に都庁や県庁に足を運んで提出しなければならない
- 申請の前には、講習会を受講しなければならない
- 都庁や県庁へ申請するに際には、必ず予約を取らなければならない
といったように、骨の折れる作業がたくさんあります。そのため、余計な回り道をしないためにも、まずは正確な情報と知識を身につける必要があります。そこで、このページでは、実際に日々、申請実務を行っている専門家(行政書士)の立場から、産業廃棄物収集運搬業の許可取得について、最低限理解して頂きたいことを以下のようにまとめました。
- 許可要件について
- 事業計画の概要について
- 必要書類について
- 予約~申請について
- 仮置き場・積替え保管施設の設置について
- 廃棄物収集運搬業許可取得をお考えの方へ
ぜひ、御社の産業廃棄物収集運搬業許可取得の参考にしてみてください。
1.許可要件について
産廃収集運搬業の許可を取るためには、許可要件を満たしていなければなりません。この要件を満たしていなければ、どんなに許可取得を急いでいても、許可を取得することはできません。そのため、産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには、まずは、許可要件について理解することが重要です。
以下では、4つの要件について、解説いたします。
(1)許可要件その1:講習会の受講
この点については、ご存知の方も多いと思いますが、まずは、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する「産業廃棄物の許可申請に関する講習会(新規)」を受けていることが必要です。
廃棄物を扱うのに必要な知識と技能を習得するために、2日間にわたって講習を受講していただくことになります。この講習会の受講については、WEB申込のやり方が分からないなど、困っている事業者も多いので、3点ほど注意点を記載します。
講習会受講の注意点1
許可申請の際には、代表者もしくは取締役の「講習会の修了証の写し」が必要になります。そのため、講習会を受けないで(講習会の修了証を取得しないで)産廃の許可を取得することはできません。
講習会受講の注意点2
この講習会は、開催時間や開催場所が限られていて、「いつでも・どこでも」受けることができるというものではありません。事前に、「講習会の開催日程・空席状況」を確認する必要があります。
講習会受講の注意点3
この講習会は、予約がすぐに埋まってしまう場合があります。事前に「講習会の開催日程・空席状況」を確認したら、すぐに申込をしてしまうことを強くお勧めいたします。
なお弊所では、講習会の受講申込の代行手続きも承っています。
(2)許可要件その2:車両運搬具について
産業廃棄物の収集運搬業を行う場合、運搬車両や運搬容器が必要になります。廃棄物を運搬する車両がなければ、許可を取得することができないのは、一般常識的にわかるかと思います。
ただ、過去には、「収集運搬に利用しようと考えていた車の車検が切れていた」とか、「廃油を扱うのに廃油を運ぶための容器を準備していなかった」という方もいました。車の車検は、申請の際にコピーを提出します。運搬容器は写真に撮って提出します。車検が切れていたり、容器を準備していないと許可申請が通ることはありません。事前に確認してみてください。
(3)許可要件その3:財産的要件について
産業廃棄物収集運搬業の許可を申請する際に、会社の財産状況もチェックされます。具体的には、過去3期分の「納税証明書」や「決算報告書」の提出が義務付けられています。
ここで大事なのは、貸借対照表です。「負債の総額」が「資産の総額」を上回る、いわゆる「債務超過」の状態になっていると申請書類とは別に、「財務を改善するための計画書」の提出を求められる場合があります。この「財務を改善するための計画書」は会計士や中小企業診断士などの資格を持っている人に作成をお願いしなければなりません。
財務状況が悪いと、ひと手間、作業が増えてしまうことがありますので、注意しましょう。
(4)許可要件その4:欠格事由について
許可要件の最後は「欠格事由に該当していないか?」ということです。「欠格事由に該当する」とは、例えば、過去に「罪を犯して逮捕されてしまったとか、破産してしまったとか、許可取り消しの処分をうけてしまった場合」をいいます。
許可申請の際には、「欠格事由に該当している人はいません」といった誓約書を提出します。誓約書には、代表者の氏名を記載し、代表者印を押印しますので、「間違っていました…」ではすみません。
法人の場合、取締役の中に、「欠格事由に該当する」人が1人でもいると、許可を取得することができません。欠格事由の有無は、外部からは判別できないので、許可を申請する際には、必ず、取締役に確認を取る必要があります。
以上、産業廃棄物収集運搬業の許可取得の際に必要な許可要件として、
・講習会の受講
・車両運搬具
・財産的要件
・欠格事由
について説明いたしました。
2.事業計画の概要について
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するうえで、許可要件の次に大事なのが、「事業計画の概要」についてです。事業計画の概要というと、難しく聞こえるかもしれませんが、難しく考える必要はありません。
「事業計画」とは、簡単にいうと、産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するにあたって、「どのような廃棄物をどれだけ扱うか?」「どこからどこに運ぶのか?」といった「これからの予定のこと」を言います。あくまでも、「計画(これからの予定)」なので、『できる限り正確に記載する』程度の心構えで、よいと思います。
記載するのは主に、「(1)取扱品目」、「(2)排出元・排出先」、「(3)廃棄物の量」の3点です。
「(1)取扱品目」、「(2)排出元・排出先」、「(3)廃棄物の量」といった『事業計画』については、すでに決まっていることもあれば、今後の会社の方向性を見極めて、取引先や周りと相談しながら決めていくこともあると思います。「許可を取得したあと、どの廃棄物をどのように扱うか?」という会社の根本にかかわることですので、一度じっくり検討してみてください。
(1)取扱品目
許可申請の際には、20種類ほどある産業廃棄物の中から取り扱う廃棄物を選んで申請しなければなりません。「なんでもよいから、産業廃棄物を運びます」というわけにはいきません。工事現場から出た「木くず」「紙くず」「金属くず」「がれき類」などが一般的ですが、まれに「動植物性残さ」などもあります。
もし、取引先や仕事仲間から産業廃棄物収集運搬業の許可を取るように頼まれているのであれば、どの種類の品目を取り扱うのか、一度相談してから、取扱品目を決定された方が良いかもしれません。
(2)排出元・排出先
産業廃棄物収集運搬業の許可は「排出元」「排出先」の両方で取得しなければなりません。そのため、「取引先や処分場が同じ県内にあるのか?それとも他県にあるのか?」によって何県知事許可を取るのかが、変わってきます。
例えば、『東京都内の工事現場から出た「がれき類」を埼玉県の処分場まで運搬します』といった場合、東京都知事許可と埼玉県知事許可の2つの産廃の許可を取得しなければなりません。
(3)廃棄物の量
申請書類には、取扱うそれぞれの廃棄物について、廃棄物ごとに「運搬量 月●t」というように運搬量を記載する箇所があります。あくまでも予定ですので、正確な数値を記載しなければならないわけではありませんが、「取り扱う品目」「排出元・排出先」とともに「1月当たりどれくらいの量を運ぶのか」といったことについても検討が必要です。
3.必要書類について
産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、書類審査です。そのため、許可を取得するには、さまざまな書類を用意しなければなりません。申請書類・事業計画書・誓約書など、ひな形を、都庁や県庁のホームページからダウンロードできる書類もあります。
一方で、自分たちで用意しなければならない書類もあります。以下では、自分たちで用意しなければならない書類のうち、「役所から取得する書類」と「自社に保管してある書類」の2つに分けて記載してみたいと思います。
(1)役所から取得する書類
許可申請の際に、役所から取得する書類は、以下の4つです。
①住民票
監査役や相談役を含む、役員全員分の住民票が必要です。住民票は区役所や市役所で取得することができます。この際に必ず、「本籍地が記載されたもの」、「マイナンバーが記載されていないもの」を取得してください。「本籍地」が記載されていなかったり「マイナンバー」が記載されていたりすると、後日取り直しの憂き目にあうことになります。
②登記されていないことの証明書
監査役や相談役を含む、役員全員分の「登記されていないことの証明書」が必要です。
「登記されていないことの証明書」とは、「成年被後見人又は被保佐人に該当していないこと」を証明する書類です。管轄の法務局および地方法務局(本局)で取得することができます。東京都の場合は、九段下にある東京法務局で取得することができます。
③登記簿謄本
「登記簿謄本」は、ご存知の方も多いと思います。会社の商号や設立年月日、取締役の名前などが記載されている書類(全部事項証明書)です。これは、法務局で取得することができます。「登記されていないことの証明書」と異なり本局だけでなく、支局、出張所でも取得することができます。
④法人税納税証明書
「法人税納税証明書」は、管轄の税務署で取得することができます。都税事務所や県税事務所ではありません。「その1 納税額証明用」を直近3か年分取得することが必要です。「法人事業税」や「消費税」の納税証明書とは異なりますので、注意してください。
仮に、御社の取締役が3名で、「東京都」「千葉県」「埼玉県」の3か所に申請するとした場合
住民票:3名×3か所分=9枚
登記されていないことの証明書:3名×3か所分=9枚
登記簿謄本:3か所分=3枚
納税証明書:3か所分=3枚
合計=24枚もの必要書類を用意しなければなりません。
(2)自社に保管してある書類
上記の住民票などは、役所から取得する書類になりますが、以下の書類は、役所から取得するのではなく、通常は社内にある書類です。
①会社の定款の写し
「第1条 本会社は○○株式会社と称する」といったような条文形式で、「会社の目的」「役員の人数」など、会社の重要事項について記載されている書類(文書)です。会社を設立した際に、必ず作成していますので、確認してみてください。
②運搬車両の写真
運搬車両の写真を撮影し、申請書類に添付する必要があります。撮影の仕方については、手引きに詳細に記載されています。
③運搬車両の車検証のコピー
車検証も、申請の際に必要とされます。名義人が誰か、有効期限が切れていないかなどがチェックされます。
④会社の財務諸表(3年分)
貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表が必要です。財務諸表は、会社の税金を支払う際に、税理士に作成してもらう「決算報告書」の中に入っています。
会社の財務諸表や定款のコピーなどが、会社のどこにあるか分からないという人は、必ず、事前に確認をしておいてください。住民票などは、役所から取り寄せればどうにかなりますが、例えば、「財務諸表が見つからない」というのは致命的です。常に社内の、書類・文書管理については、気を配るようにこころがけてください。
4.予約~申請について
必要書類が準備出来たら、次は、申請のために都庁、県庁に予約を入れなければなりません。その後、実際に都庁・県庁に行って申請を行います。
(1)事前予約
産廃の許可を申請するには、予約が必要です。都庁・県庁に申請に行く前に、まずは予約を入れましょう。弊所では主に、東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県に申請に行くことが多いのですが、どこも予約がいっぱいで、数週間から1カ月以上、空きがないことが多いです。
せっかく急いで書類を収集し、作成したのに、いざ予約をいれたら「申請が1カ月以上先」ということにならないように、あらかじめ申請のスケジュールを立てておきたいところです。
(2)申請
申請の際には、申請書類に不備がないか、押印漏れがないか、副本(コピー)もあるかなど十分に注意してください。また、申請手数料も忘れずに持っていきましょう。新規申請手数料は81000円です。東京都・千葉県・埼玉県の3箇所に申請する場合には、81000円×3箇所=243000円の手数料が必要になります。
(3)2~3カ月くらいの余裕を見ておきましょう
許可申請から実際に許可通知書が届くまでの標準処理期間は60日です。ただ、この60日はあくまでも目安なので、役所が混んでいるときや、申請に不備訂正があったときは、より多くの時間がかかってしまいます。実際には、申請から許可通知書が届くまで2~3カ月かかると考えておいてください。
5.仮置き場・積替え保管施設の設置について
産業廃棄物収集運搬業の許可には、「積替え保管あり」と「積替え保管なし」とがあります。通常、産業廃棄物収集運搬業の許可といえば、「積替え保管なし」を指します。
「積替え保管あり」とは、「仮置き場」や「積替え保管施設」を自社で保有する場合の収集運搬の許可を言いますが、はじめて産廃収集運搬業の許可を取得する方は、「仮置き場」や「積替え保管施設」と聞いてもピンとこないかもしれません。
弊所にご依頼頂く、産業廃棄物収集運搬業許可のうち、9割以上は、「積替え保管なし」であるため、以下では、「(1)積替え保管ありとなしの違い」および、「(2)積替え保管ありの許可を取得するには」といった2点に絞って、簡単に記載させて頂きます。
(1)積替え保管の「あり」と「なし」
一般的に、産業廃棄物収集運搬業の許可というと、「積替え保管なし」をいいます。ほとんどの事業者さんは、「積替え保管なし」の産業廃棄物収集運搬業の許可を取得したいと考えているはずです。一方で産廃収集運搬業の許可には「積替え保管あり」という種類があります。積替え保管「なし」と「あり」の違いです。
産業廃棄物を収集運搬する場合、排出元から排出先まで自社施設を経由しないで、運搬するのが通常かと思います。これがいわゆる「積替え保管なし」です。
一方で、大量に廃棄物を取り扱う会社や、規模の大きい会社は、自社の施設で廃棄物を積みかえたり、保管したりすることがあります。この場合に必要なのが「仮置き場・積替え保管施設」で、許可申請も「積替え保管あり」の許可申請が必要になります。
(2)「積替え保管あり」の産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには
東京都内で「仮置き場・積替え保管施設」を設置し、「積替え保管あり」の産業廃棄物収集運搬業の許可を申請するには、
1.区役所や市役所への指定作業場設置届の提出
2.都庁や県庁への事前計画書の提出
3.現地調査
4.変更許可申請の提出
という手続きが必要になります。単に廃棄物を収集運搬する場合と異なり、自社施設内で、積替えや保管を行う場合には、周囲への環境を配慮する必要性から、より、細かな書類の提出が求められます。
例えば、「2.都庁や県庁に提出する事前計画書」には、取り扱う廃棄物の種類や量を記載した書類のほかに、「周辺住民の同意書」や「建物貸主の承諾書」などを添付しなければなりません。その後、都庁の担当者が、「提出した事前計画書が実際の状況と合致しているか?」を確認しに、積替え保管施設・仮置き場の「3.現地調査」に来ます。
- どんな場所で、何を、どれくらいの量、保管するのか?
- 周囲への騒音・悪臭・振動対策はできているのか?
などを実際に細かくチェックされるわけです。どれも「積替え保管なし」の許可申請の時にはない、特別な手続きです。「仮置き場や積替え保管施設を設置する」ということは、それだけ、周辺住民や環境への配慮が必要になるので、許可を取得するのにハードルがぐっと上がるというイメージを持っていただければと思います。
6.廃棄物収集運搬業許可取得をお考えの方へ
以上、「産業廃棄物収集運搬業許可取得の手引き(東京都/埼玉県/千葉県/神奈川県)」を最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。申請に必要なことを最低限に絞って、かなりわかりやすく簡潔に記載しましたが、如何でしたでしょうか?
住民票や登記されていないことの証明書や納税証明書など、申請に必要な書類はたくさんあります。そのような書類は、委任状を使うことによって行政書士が代理取得することができます。皆さんが実際に法務局などに行って取得する必要はありません。
また、都庁や県庁の混雑状況によっては、「予約を入れても申請が1カ月以上先になってしまう」ということもありますが、弊所にご依頼いただければ、面談や打ち合わせの段階で、予約の空状況を確認して先にスケジュールを組んでしまうので、極端に申請が遅れるということはありません。
ただでさえ忙しい皆さんが、申請手数料を準備して、レターパックを持参して、都庁や県庁まで実際に申請しに行くのは、時間がもったいないですね。そんなことより、もっとやらなければならないことがあるはずです。行政書士法人スマートサイドにご依頼いただければ、忙しい皆さんに代わって都庁や県庁への申請も代行させていただきます。
このように、書類の収集・作成・申請すべての手続きを代行させていただくことができるというのが、行政書士法人スマートサイドに産業廃棄物収集運搬業の許可取得を依頼するメリットです。
また、1度に2箇所以上の申請をご希望される場合には、「複数自治体同時申請割引き」として、「2件目以降の行政書士報酬を50%OFFにする」というサービスも提供しています。急いで複数自治体への申請をしなければならないといったお客様から、大変ご好評を頂いている弊所一押しのサービスです。
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