事案の概要
本店所在地 | 東京都練馬区 |
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申請先自治体 | 東京都 |
廃棄物の種類 | 燃え殻/汚泥/廃油/廃酸/廃アルカリ/廃プラスチック類/紙くず/木くず/繊維くず/動植物性残さ/動物系固形不要物/ゴムくず/金属くず/ガラスくずコンクリートくず及び陶磁器くず/鉱さい/がれき類/動物のふん尿/動物の死体/ばいじん/政令第13号廃棄物 (全20種類) |
依頼の内容 | ・東京都の産廃許可申請
・できればすべての廃棄物の種類で許可を取得したい |
相談内容
東京都の産業廃棄物の許可を取得したい。実際に取り扱う廃棄物は、「がれき」「廃プラ」「木くず」などの固形物が中心になるが、まれに「廃油」「廃酸」などの液体も運ぶかもしれない。「動物の死体やふん尿」「動植物性残さ」を運ぶことはないと思うが、後から追加取得することが面倒なので、できればすべての種類で許可を取得したい。
産廃許可を取得するのは、今回が初めてでよくわからないので、手続きのすべてを行政書士法人スマートサイドにお願いしたい。
弊所の対応
「産廃許可を取得するのは、今回が初めてで、他県でも取得したことがない」とのことでしたので、書類収集、書類作成、都庁への予約、書類申請、都庁の窓口対応といったすべての手続きを弊所で承ることとなりました。まずは都庁へ申請の予約を入れ、その申請日時に間に合うようにスケジュールを逆算して、書類の収集、書類の作成を行いました。できれば全20品目の廃棄物で許可を取得したいとのことでしたので、「事業計画の概要(第一面)」の書き方を工夫するようにしました。
また、運搬容器としてフレコンバックや飛散防止シートしか用意していなかったので、「廃油・廃アルカリ」といった液体も運ぶために液体漏れの心配のない「ポリ容器(ポリタンク)」も用意していただきました。
「事業計画の概要(第1面)」の書き方
東京都の手引きを見ると、「事業計画の概要(第1面)」の書き方が丁寧に記載されています。わかりづらいかもしれませんが、一応下記に該当部分を添付しましたので参考にしてみてください。
予定排出事業場の名称及び所在地について
基本的には、この記載要領に従って、「事業計画の概要」を作成します。しかし、本事案のように全20種類の廃棄物の許可を取得したい場合には、予定排出事業場について以下のような注意が必要です。
- 「燃え殻」は、焼却炉のある排出業者であることが必要です。
- 「木くず」や「紙くず」は、建設業者の工事現場などから排出されることが必要です。
- 「動植物性残さ」は、食料品の製造業などから排出されることが必要です。
- 「動物のふん尿・死体」は、畜産農業から排出されることが必要です。
廃棄物のすべてが「産業廃棄物」に該当するのではく、特定の廃棄物のみ「産業廃棄物」に該当することが法律上定められているためです。
このように、取り扱う廃棄物の種類によって特定の事業活動から排出されるものであることが必要になります。なお、「政令第13号廃棄物」とはコンクリート固化物や灰の溶解固化物をいい、産業廃棄物を処分するために処理されたもので、いずれの産業廃棄物にも該当しないもののことを言います。
予定運搬先の名称及び所在地について
予定運搬先の名称及び所在地については、「排出事業者が指定する処理施設」と記載すれば足ります。この点についは、手引きの記載に従ってください。
これがもし他県の産廃許可申請だったら…
本件の事案は、東京都の産廃許可申請だったので良かったですが、これがもし埼玉県や千葉県など他県の産廃許可申請だったらどうでしょう?埼玉県や千葉県の産廃許可申請の場合、「事業計画の概要(第一面)」の「予定排出事業場の名称及び所在地」「予定運搬先の名称及び所在地」の欄には具体的な会社名と所在地を記載しなければなりません(埼玉県や千葉県の手引きの該当箇所をぜひ確認してみてください)。
東京都のように「予定排出事業場の名称及び所在地」=「食料品製造業者」、「予定運搬先の名称及び所在地」=「排出事業者が指定する処理施設」といった抽象的な記載の仕方をすることができません。他県では、これから許可を取得するための事業計画とは言え、ある程度、実態に沿った細かな記載を求める傾向にあるようです。
このように、「事業計画の概要(第1面)」の書き方は、許可を取ろうとする自治体によって異なり、その結果、事業計画がある程度、煮詰まっていないと許可を取得することが困難な場合があります。もちろん事業者さまのほうで、しっかりばっちり「事業計画の概要(第一面)」を作成できるというのであれば、問題ありませんが、審査の過程で、何かしら不備が見つかる可能性が高いと考えてください。
本件の場合
本件の場合、初回面談の際に、全20種類の廃棄物の許可を取得することは難しいことを事業者さまにお伝えしていました。また、必ずしも全20種類の廃棄物の許可が必要でないこと、都庁の審査担当者から修正を求められたらそれに従うことをご了承いただいてました。
結果として、「政令第13号廃棄物」については、「コンクリート固化物に限る」という限定が付されたものの、希望した全20種類の廃棄物について許可を取得することができました。なお、この事業者さまの場合、「石綿含有産業廃棄物は無し」「水銀の取り扱いも無し」で産廃許可を取得しました。
たくさんの廃棄物の種類の許可を取得する難しさについて
本件の事案では、東京都から一部、書類の訂正を求められたものの、結果として、全20種類の廃棄物で許可を取得することができました。とはいうものの、すべての自治体で、東京都と同じように全20種類の廃棄物での許可を取得できるとは限りません。上記でも記載したように、埼玉県や千葉県に提出する「事業計画の概要(第一面)」には、具体的な会社名・所在地を記載しなければならず、排出事業場の業種、運搬先処理施設の取扱う廃棄物の種類によっては、許可を取得することができないかもしれません。
例えば、
- 「燃え殻」を運ぶのであれば、排出元施設に焼却炉があるのか?排出先処分場が「燃え殻」を処分する許可を持っているのか?
- 「動植物性残さ」を運ぶのであれば、排出元施設が食料品・医療品製造業であるのか?排出先処分場が「動植物性残さ」を処分する許可を持っているのか?
といったことが重要になってきます。しかも、上記はほんの一例にすぎません。
このあたりについて、これから許可を取得しようとしる事業者さまが把握することは、難しいかもしれません。弊所では、このような難易度の高い申請についても経験が蓄積されていますので、皆様のご希望に沿うような産廃許可を取得できるものと思います。産廃許可取得でお困りの際には、ぜひ、ご連絡をください。
皆さまからのお問い合わせをお待ちしております。