東京都の産業廃棄物収集運搬業(積替え保管「あり」)の許可を取得する際の手続きの流れ

このページは、産業廃棄物収集運搬業の許可(東京都知事許可に限る)のうち、積替え保管「あり」の許可取得について、解説したページです。東京都以外で積替え保管ありの許可を取得したい場合、東京都とはルールが異なりますので、ご注意ください。

  • 自社の倉庫に積替え保管施設を設置したい
  • 積替え保管「なし」の許可から、積替え保管「あり」の許可に変更したい
  • 収集した廃棄物を効率よく処分場まで、運搬したい

という人は、いらっしゃいませんでしょうか?東京都の産業廃棄物収集運搬業の許可は「積替え保管なし」と「積替え保管あり」に分かれています。弊所にご依頼いただく多くのお客さまが、東京都だけでなく、おもに1都3県を中心に「積替え保管なし」の産業廃棄物収集運搬業の許可をお持ちです。

しかし、「積替え保管あり」の許可をお持ちの人は、非常に少ない印象です。「積替え保管あり」の許可を取得するには、土地建物の所有者の同意や周辺住民への説明など、「積替え保管なし」の許可を取得したときとは、比較にならないほど多くの資料と、煩雑な手続きが必要になります。

そこで、このページでは、東京都の産業廃棄物収集運搬業の許可のうち、積替え保管「あり」の許可取得に関する手続きに絞って、全体の流れを説明して行きたいと思います。

なお、弊所のホームページは、事業者のみなさんのみならず、行政書士をはじめとした多くの士業の先生がたも閲覧していることと思います。行政書士・司法書士・社会保険労務士・税理士の先生方のクライアントで、東京都の積替え保管「あり」の許可取得を検討されている事業者さまがいらしたら、ぜひ、このページを先方にご案内して頂ければと思います。

1.積替え保管「なし」の許可取得

まず、前提として、産業廃棄物収集運搬業の許可は「積替え保管なし」と「積替え保管あり」に分かれています。「積替え保管なし」とは、産業廃棄物を収集後、「積替え」や「施設への保管」をすることなく、直接、中間処理施設や処分場に運搬する際に、必要な許可を言います。

文字通り「積替え保管なし」の許可なので、途中で、他の車両に「積替え」たり、倉庫や仮置き場に廃棄物を「保管」することもできません。排出場所から排出された産業廃棄物を、いわばノンストップで処理施設・処分場に運搬しなければなりません。

これに対して、「積替え保管あり」とは、産業廃棄物の収集後、自社の倉庫や仮置き場に、いったん廃棄物を保管し、ある程度まとまってから、処理施設や処分場にまとめて運搬することができます。

このように「積替え保管なし」の許可の場合、毎回・毎回、都度、廃棄物の運搬が必要なのに対して、「積替え保管あり」の許可の場合、自社の施設に一定量保管することができるため、処分場などに廃棄物を運搬する回数を減らすことができるというメリットがあります。

産業廃棄物収集運搬業の積替え保管「あり」の許可を取得するには、先に、積替え保管「なし」の許可を持っていないといけないか?というとそういうわけではありません。一般的には、積替え保管「なし」の許可を取得したあとに、積替え保管「あり」の許可があった方が便利だからという理由で、積替え保管「なし」の許可を積替え保管「あり」に変更することが、圧倒的に多いです。

しかし、だからといって、積替え保管「なし」の許可を持っていないと、積替え保管「あり」の許可を取得できないわけではありません。いきなり『積替え保管「あり」の許可が欲しい』というタイプの会社が少ないだけです。

2.指定作業場設置届の提出

この指定作業場設置届は、積替え保管施設を設置する区役所・市役所に提出する書類です。「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の第89条に根拠があります。

積替え保管施設を設置する区役所・市役所に提出する書類ですので、詳しくは積替え保管施設のある区や市のホームページで確認することになりますが、おおむね指定作業場を設置するときは、着工の30日前までに提出するように求められています。

また、この指定作業場設置届の控えは、東京都に事前計画を説明する際の書類として提出を求められています。流れとしては、まずは、区役所や市役所に指定作業場の設置届を提出し、その控えを都庁に提出するという流れになります。

3.都庁への事前相談

すでに持っている産業廃棄物収集運搬業の積替え保管「なし」の許可を積替え保管「あり」に変える場合にしろ、はじめての産業廃棄物収集運搬業の許可で積替え保管「あり」の許可を取得しようとする場合にしろ、どちらの場合でも、東京都への事前相談を申し込んだ方がよいでしょう。

東京都の手引きを見ると「必要に応じて」と記載があるため、必ずしも、事前相談は必須というわけではありません。しかし、事前相談を経ずに、事前計画書を提出しても、事前計画の内容を大幅に変更しなければならないケースが出てくるかもしれません。

また、どういった廃棄物をどれくらいの量、どういった場所に保管するのかによって、事業計画書の書き方は変わってきます。廃棄物を保管するための容器や廃棄物を清掃するための設備について、事前に都庁に相談しておくのがベストな選択です。

なお、弊所にご依頼を受けた際は、必ず、都庁への事前相談を行ってから、事前計画書の作成・提出を行っております。

4.事前計画書の作成・提出

事前相談で、問題点や疑問点などを解消し、ある程度、積替え保管施設の設置の概要が見えてきたら、事前計画書を作成します。事前計画書の作成には、以下の書類が必要になります。

NO 書類 詳細
事前計画書表紙
都許可証の写し
施設周辺の概要
  1. 案内図
  2. 用途地域を示す図面
  3. 施設の周辺図
  4. 施設周辺の写真
施設の概要
  1. 施設内配置図
  2. 施設内写真
保管場所の詳細
  1. 保管する廃棄物の一覧表
  2. 産業廃棄物の保管場所
  3. 産業廃棄物の保管場所の写真
作業手順書
施設清掃に関する説明
生活環境の保全上の措置等
積替え保管作業に使用する重機
  1. 重機一覧表
  2. 重機の写真
  3. 重機の使用権原
10 使用権原を証明する書類
  1. 公図
  2. 土地、建物の全部事項証明書
  3. 土地、建物の賃貸借契約書の写し
11 指定作業場設置届
12 住民説明の状況
  1. 説明対象者を示す図面
  2. 説明資料
  3. 説明経過書

5.現地調査

事前計画書の作成・提出が終わったら、続いて、都庁職員の現地調査が実施されます。この現地調査は、事前計画書を提出したその日に行われるわけではありません。事前計画書を提出した日に、都庁の職員と現地調査の日にちを調整することになります。

事前計画書の作成が、きちんとできていれば、現地調査は、比較的すんなり終わります。しかし、一方で、事前計画書の作成がいい加減だと、不備を指摘されたり、補正などの対応が必要になります。

たとえば、積替え保管容器をあらたに補充することを求められたり、保管量を示すための基準線(テープ)の貼り付けを求められたり、清掃設備を買い増すように指示されたりすることがあります。

現地調査で不備を指摘された場合には、必ず指示に従うようにしましょう。また、現地調査の際に思わぬ不備を指摘されないようにするためにも、「都庁への事前相談」および「事前計画書の正確な作成」は、必須であるといってよいでしょう。結局は、そういった細かい手続きを踏み、ルールを守ることが、積替え保管「あり」の許可を少しでも早く取得するためのコツと言えます。

6.変更許可申請(本申請)

現地調査が終わったら、変更許可申請(本申請)です。注意しなければならないのは、現地調査が終わったからと言って、自動的に「産業廃棄物収集運搬業(積替え保管あり)」の許可を取得できるわけではありません。

すでに、産業廃棄物収集運搬業の積替え保管「なし」の許可を持っている場合には、その積替え保管「なし」の許可を積替え保管「あり」の許可に変更するための、変更許可申請が必要になります。まだ、積替え保管「なし」の許可を持っていない会社の場合には、積替え保管「あり」を取得するための新規申請が必要になります。これらの申請を、本申請と言います。

7.積替え保管「あり」の許可証の取得

変更許可申請(本申請)提出後、積替え保管「あり」の許可証を受領することができます。ただし、審査の標準処理期間(許可証交付までの期間)は、申請書受理後60日となっています。なお、「申請書受理後、書類の修正、追加に要した日数」「土日祝日、年末年始、そのほか都庁閉庁日」は、上記の日数に含まれません。

そのため、実際に積替え保管「あり」の許可証を取得できるのは、「6.変更許可申請(本申請)」を実施してから3か月程度後になることが予想されます。

8.積替え保管「あり」の許可を取得する手続きの注意点

1~7まで、東京都の産業廃棄物収集運搬業(積替え保管あり)の許可を取得するまでの手続きの流れを説明してきましたが、注意して頂きたいことが、3点あります。

(1)申請受付窓口の場所に注意

積替え保管「なし」の場合、特に申請受付窓口は指定されていませんでしたが、積替え保管「あり」の場合、積替え保管場所の設置場所によって、以下の通り、申請受付窓口が異なります。「23区+島しょ」と「市町村」によって、「都庁第二本庁舎」と「立川合同庁舎」に管轄がわかれますので、ご注意ください。

施設の設置場所 管轄窓口
23区+島しょ 東京都環境局 資源循環推進部 産業廃棄物対策課 審査担当
市町村(八王子市)を除く 東京都多摩環境事務所 廃棄物対策課 審査担当

(2)事前相談の日にち、事前計画書の提出日に注意

東京都では、事前相談および事前計画書の提出をすべて、予約制にしています。また、相談および提出可能な曜日は、毎週水曜日と決めれています。1週間のうち、水曜日しか受け付けてもらうことができません。また、毎週水曜日しかないため、予約状況によっては、事前相談および事前計画書の提出が、3週間~1か月程度、あとになってしまうことも予想されます。

この点については、都庁も少ない人員の中で相談に応じ、書類審査や現地調査を行っていることと思いますので、仕方ないと言えば仕方ないと思いますが、これから申請するみなさんは、毎週水曜日しかないという緊張感を持って、手続きに臨まれるとよいでしょう。

(3)意外と時間がかかる点に注意

手続きの流れの中の「7.積替え保管「あり」の許可証の取得」のなかでも記載しましたが、本申請から許可証の受領まで、約3か月かかります。「事前相談から3か月」でもなければ、「現地調査から3か月」でもありません。「本申請(変更許可申請)から3か月」です。

(2)の注意点で説明したように、事前相談や事前計画書の提出は、毎週水曜日しか行っていないため、予定の調整がうまく行かないと事前相談や事前計画書の提出を終らせるまでに、数か月かかるということも十分考えられます。また、現地調査の際に不備を指摘されれば、その不備に対応するための時間も必要になります。

事前相談から許可証の受領まで、6か月程度の期間を見て頂いた方が良いかもしれません。

東京都の積替え保管「あり」の手続きでお困りの人へ

東京都の産業廃棄物収集運搬業(積替え保管「あり」)の許可を取得する際の手続きの流れは、ご理解いただけましたでしょうか?「1~7」については手続きの流れそのものを、「8」については手続きの際の注意点3つを、説明させて頂きました。

みなさんの中には、「1都3県」もしくは「それ以上の数の自治体」の積替え保管「なし」の許可を持っている人もいるでしょう。産業廃棄物収集運搬業の許可は、会社規模が大きくなればなるほど、より広域での許可取得が必要になります。そして、積替え保管「なし」の許可にくらべて、積替え保管「あり」の許可取得は、とても難しいのも事実です。

たとえば

  • 指定作業場設置届は、どのタイミングでどこに出せばよいのか?
  • 都庁への事前相談では、どんな資料を持って、何を話せばよいのか?
  • 周辺住民への説明資料はどうやって作成すればよいのか?
  • 果たして、自社の倉庫や駐車場に積替え保管施設を設置できるのか?

など、インターネット上の情報だけだと、なかなか、理解することができないかもしれません。

行政書士法人スマートサイドは、積替え保管「なし」の許可はもちろんのこと、東京都内限定で積替え保管「あり」の許可取得手続きを代行させて頂くことが可能です。

過去には、豊島区や墨田区といった住宅街での積替え保管施設の設置にも成功していますので、これから積替え保管ありの許可を取得しようと検討しているみなさんのお力になることができると思います。弊所では、行政への手続きでお困りのみなさまに対して、ご要望に応じて1時間11,000円の有料相談を実施しています。

積替え保管施設の図面や賃貸借契約書をお持ちいただければ、許可取得の流れや手続きについて、より詳しくご説明ができると思います。東京都の産業廃棄物収集運搬業(積替え保管「あり」)の手続きでお困りの際には、ぜひ、下記問い合わせフォームから、事前予約制の有料相談をお申込みください。

 

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